2025-03

今年のお題は“カワイの103系”です.神田須田町角から数えて6軒目,古風なカワイモデルの旧店舗で“103系塗装済キット”を手に入れたのは,今から半世紀も前のこと.
 以降30年余に亘り増備を繰り返し,いつしか堂々の10輛編成… 30年ですぜ,旦那.
 鉄道模型に限らず,投資リスク低減と資金回収期間の短期化を目的とした“小ロット生産・在庫極小化”や“予約生産”が主流の昨今.長期に亘って同一商品を継続生産し在庫を抱え“定番”として供給し続けるのは,量販生活用品でもない限り困難です.
 小遣いを貯めて1輛ずつ買い足す楽しみは絶えて久しく,新製品は発売と同時に“セット大人買い”をせねばならぬ時代となりました.
 カワイモデルの廃業を知ったのは,本誌昨年5月号の特集記事.万事が手荒く躁急で功利的な御時世に抗うことは難しかったのでしょう.お疲れ様でした.
 拠って,お題に選んだ103系.22年前に導入した初期車と最終導入車の加齢差・状態差解消工事を実施し,“年越し運転”に使用.その後“押入車庫”で休車を託っていましたが,今般4輛を代表として引っ張り出し整備.精密機構も電子部品もありませんから,インサイドへの注油だけであっさり動き,問題なく復活.“安心して遊べる模型”の面目躍如です.
 仮設線路を走らせつつ来し方行く末に思いを馳せれば,小遣いを握りしめて“カワイのお姉さん”の許に通った少年時代を,懐かしく思い出します.来る年こそ,穏やかな世の中になりますように.
 かくして,2024年12月31日23時55分~2025年1月1日0時05分にかけての越年仕業は,無事に完了致しました.